年始のおとそ気分もどこ吹く風、
ついに原油価格が一時1バレル=100ドルを超えました。
終値は99.62ドルと100ドル超えはしなかったものの、
この超原油高状態はとどまるところを知りません。
世界経済はもちろんのこと、
我々の家計ベースでも大きな影響を与える原油価格の高騰は、
2008年が波乱の年となることを予期させるようです。
さて、今回一時100ドル超えを記録した原油価格ですが、
この価格は我々が日常使用するガソリンや灯油の価格に直接リンクするわけではありません。
(“ほぼ”直接みたいなものですけど)
日常のニュースで目にする原油価格は
WTI先物価格を指し、ある市場で取引される一つの先物取引に過ぎません。
世界の主な原油価格の指標
原油価格の最も代表的なものはWTIですが、世界にはその他にも主要な原油価格の指標が存在します。
WTIWTI(West Texas Intermediate)はアメリカ・テキサスで産出される原油の事を指します。WTIの先物(将来の特定期日に特定価格で決済する取引)はニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場され、アメリカのみならず世界の原油価格において最も有力な指標とされます。
ブレントブレント(Blend)とは北海のブレント油田で産出される原油の事を指し、WTIと同じようにロンドン国際石油取引所(IPE)に上場しています。WTIがアメリカのマーカー原油として用いられているのに対し、
ブレントはヨーロッパのマーカー原油として取引されています。
ドバイ産原油WTIがアメリカ、ブレントがヨーロッパのマーカー原油であるのに対し、アジアでは中東産原油が多く取引されています。なかでも、
ドバイ産原油は中東産原油の価格を左右するマーカー原油として評価され、先の二つが先物取引されるのに対し、
ドバイ産原油の価格はスポット取引による価格です。
日本では東京工業品取引所で原油先物取引が行われています。ドバイ原油とオマーン原油の価格を加重平均したものがマーカー原油価格として取引され、日本が最も影響を受ける原油価格がそのうちの大半を占めるドバイ産原油なのです。
WTIが世界の原油市場を左右する
上記のように、原油価格はその地域ごとにマーカー原油が存在し、その価格に基づいて取引されます。したがって
日本の場合は、WTIの価格変動が直接影響をもたらすのではなく、ドバイ産原油の動向によるものです。しかし、今日の原油市場においては、ブレントやドバイ産原油の価格ですらWTIの影響を受け連動しています。WTIの価格が上昇すれば、ブレントやドバイ産原油の価格も上昇し、結果その地域全体のみならず世界全体の原油価格が上昇するのです。
WTIの産出量は一日当たり40万バレル程度で、世界に占める割合は1%未満ですから、決して多くありません。
しかし、先物市場での取引は一日当たり2〜3億バレルと、世界の一日当たり原油産出量8000万バレルを大きく超えます。
これはWTIが古くから世界の原油市場を支配していたことや投機マネーの流入などによるもので、IPEにおけるブレント原油の取引高の約2倍弱もの規模です。
WTIが世界の石油市場においてこのような位置づけにあるため、ブレントやドバイ産原油ですら、WTIの価格を参考にして取引されます。価格に若干の差こそあれど、WTIが高騰すれば他の市場の原油も高騰するのです。
原油価格はなぜ上がる?
現在の原油価格の高騰は異常とも言える状況にあります。以前は1バレル=15〜20ドル前後、湾岸戦争時に40.42ドルを記録した程度ですから、昨今の原油価格は有事の2倍以上もの水準なのです。
原油価格の高騰は複雑な要因が絡まっていますが、主な要因として、需要拡大・供給不安・投機資金の流入が挙げられます。
すなわち、新興国を代表とする世界的な原油需要の拡大、中東情勢や対テロ戦争に起因した産出国の地政学的リスクによる生産量の不安定化、世界的なカネ余りと金融不安による現物市場への資金流入、これらによって原油価格は前代未聞の水準まで高騰しているのです。
世界経済への影響
原油価格の高騰は、当然その範疇のみにとどまるものではありません。インフレをもたらすのみではなく、企業収益に与える影響を懸念し、株式市場の混乱をもたらします。市場の混乱はそのまま世界経済への混乱へとつながり、経済成長への大きな足かせとなり得ます。
このように、単なる商品価格の上昇ではなく、世界経済にブレーキをかけてしまうのです。
当分の間、この構図は変わりそうにありません。問題が複雑で根深いほど、解決には時間を要します。
2008年以降も原油高は経済の大きなテーマになるでしょう。
あ、書き忘れました1バレル=約159リットルです。